在日モンゴル人らが抗議デモ―コロコロコミック漫画で

  2018年2月26日午後、東京都神保町にある小学館の前で、「チンギス・ハーン!」、「チンギス・ハーン侮辱は許さん」、「全面回収しろ」のコールが響きわたった。小学館の月刊誌「チンギス・ハーンにいたずら描きコロコロコミック」2018年3月号(2月15日に発売)に掲載されている漫画「やりすぎ!!!イタズラくん」(著者:吉野あすみ氏)が、モンゴル民族の祖先であり信仰の対象でもあるチンギス・ハーンを冒涜しとして在日モンゴル人らが立ち上がり、100名近くが怒りの抗議デモを行ったのである。

同漫画には、モンゴル帝国の初代皇帝であるチンギス・ハーンが登場し、チンギス・ハーンの肖像を見て問題に答えるシーンで、肖像の額の部分に男性器を模したイタズラ描きが描かれている。それがモンゴル人たちを激怒させたのである。なぜなら、チンギス・ハーンは、単なる歴史人物ではなく、モンゴル国および内モンゴルなどモンゴル地域において、モンゴル民族の精神的支柱であり、もっとも大切な信仰でもあるからである。

チンギス・ハーン祭祀は、その没後(1227年)に始まり、『蒙古源流』(1662年)など文献には「あまねく国々の守護神」と記載されている。チンギス・ハーン祭祀はすなわちチンギス・ハーン信仰と見ることができ、今日においても根強い。したがって、モンゴル民族にとって、チンギス・ハーンは「英雄」をはるかに超えた、誇り高きモンゴル民族の祖先であり、神様である。チンギス・ハーンの肖像に性器が描かれることは、チンギス・ハーンへの冒涜であり、モンゴル民族、国家への冒涜であり、モンゴル民族の神聖な信仰への冒涜であると、モンゴル民族の人々は共通に認識し、憤慨しているのは、十分理解できる。小学館という日本屈指の出版社がこのようなチンギス・ハーン信仰に配慮しなかったとしたら、知的想像力が欠けているとしか言えないだろう。

抗議デモに参加したモンゴル民族の人々は、チンギス・ハーンの冒涜は到底許されない蛮行であり、文明の国日本にあってはならないとしながら、子供向けの雑誌でありながら、偉人たちの顔にイタズラ描きをさせるコンテストを行うこと自体、モラルの上でも教育的視点からも極めて不適切であり、社会的問題となっているイジメの助長にもなりかねないと指摘。

抗議デモを行った経緯として、小学館が駐日本国モンゴル大使館に謝罪しながら、問題の漫画雑誌の販売停止や回収など誠意ある具体的な対応を取らなかったことへの不満が募ったことも一因のようだ。

小学館に対し、次のように求めた。①チンギス・ハーン冒涜のコロコロコミック3月号の速やかな販売停止と回収。②チンギス・ハーン冒涜に関して誠意ある謝罪をすること。③次号及び朝日新聞など主要紙に謝罪文を掲載することなど。それらの要請が受け入れらなかった場合には、世界中のモンゴル民族と連携し、各国で抗議デモを続けるほか、法的手段にも訴える用意があるとした。コロコロコミック3月号は月刊誌という性格上、まもなく店頭から自然に消えるだろうが、チンギス・ハーンを冒涜した事実は消えないだろう。

抗議デモは日本のメディアに取り上げられた。またモンゴル国のTV5社にも取り上げられ、数十万人から抗議デモへの理解と支持する声が寄せられた。抗議活動の前後から、「不適切表現」があったとして、紀伊国屋など大手書店は同漫画誌の販売停止を決めるなど、日本国内でも同漫画誌への「不適切表現」についての認識が高まっているようである。

はたして小学館は誠意ある対応を見せるのだろうか。

文責:B@B

 

 

日本における主な記事、報道

https://mainichi.jp/articles/20180227/k00/00m/040/062000c

http://www.sankei.com/entertainments/news/180226/ent1802260020-n1.html

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000121566.html

https://www.asahi.com/articles/ASL2R643YL2RUTFK01K.html

http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/26/genghis-khan_a_23371714/

http://blog.esuteru.com/archives/9063885.html