乳がん闘病中の在日モンゴル女性に救いの手を!

ムンクバトさん(44歳)は、内モンゴル自治区シリンゴル西ウジムチン旗出身で、妻オランチメグ(38歳、シリンゴル盟ショローン・フフ旗出身)と三人の子ども(10歳、8歳、3歳)と日本で幸せな生活を送っていた5人家族です。

しかし、妻のオランチメグさんが2020年4月に乳がん(ステージ4)と診断され、闘病生活を余儀なくされました。肺転移、肝転移もあり、今まで約17回(3カ月に4回)に渡り放射線治療してきました。2021年7月27日恥骨、左坐骨病的骨折により緊急入院し、手術は不可能で骨に放射線治療しました。9月3日に脳転移が発覚され、9月4日にガンマナイフ(脳の精密放射線治療)をしました。千葉市立海浜病院、セコメディック病院で入退院を繰り返し、9月中旬に千葉大学付属病院に転院し、化学治療を続ける予定です。オランチメグさんご本人は前向きに癌と全力で戦っています。

夫ムンクバトさんは、2021年7月20に肝臓血管腫の手術し、入院中に妻が緊急入院しました。本来は3週間以上の入院が必要とされる大手術でしたが、2週間で8月4日に退院しました。もちろん完治ではないですが、一日も早く仕事にもどり、妻の手術治療代を工面するために、また子育てをしなければならなかったからです。

オランチメグさんは、9月中旬に千葉大学付属病院に転院し、化学治療を続けます。新型コロナウイルスの影響で短い期間で退院されることが予想されています。恥骨、左坐骨骨折しているため、自分で起き上がることができず、寝たきりの状態です。退院後は完全介護が必要とされます。骨の完治まで半年から一年と言われています。医療費や生活がかかっているため夫ムンクバトさんは、仕事を辞めるわけにはいきません。保険制度が充実しているとはいえ、治療費が免除されないことは経済的負担はなお大きいのです。長期間に渡る治療費はこの5人家族にとっては少なくありません。かなり無理を重ねた生活をしていると予測されます。これから、オランチメグさんが退院した後、介護ヘルパー等を利用する際には、40歳以下だと介護保険やサービスが適応されないこともあり、月々高額の介護ヘルパーの料金が発生します。夫ムンクバトさんは妻の介護、育児、そして仕事がなかなか両立できず、大変困っています。

これから長期間に渡る介護ヘルパーの料金は私たち在日モンゴル人たちでなんとか集められないのではないかと思い、今回の募金活動を企画しました。あらゆる方法を使って、3人の子どもたちのもとに元気なお母さんを返しあげたいから、これからは保険が効かない遺伝子治療も現在の治療と同時に行われるそうです。高額の治療費や介護料金に心配をせず、彼らを治療に専念してもらいたいです。

どうか在日モンゴル人の皆様、日本の皆様にはぜひとも暖かい救いの手を差し伸べて、お力になっていただきたくお願い申し上げます。

寄付金は下記の銀行口座へ直接振り込んでください。

京葉銀行 稲毛支店 店番号:441

口座番号:7302781 名義人:ムンクバト(孟克巴図)

問い合わせ先:Tsasan 080-3552-3689

Hovor 080-8478-6638

Sijiron 090-7525-8778

以上、よろしくお願いいたします。

「英語をモンゴル国の公用語に」はフェイクニュース

9月1日はモンゴル国の政府制定の「母語の日」であり、各種学校にとっては新しい学年の始まりである。この新学年のスタートに際して、モンゴル国のL・オヨンエルデニ首相が祝辞を述べた。その中で、教育体制関連法律の改革案を国会に提出したことを明言し、教育体制を順次12年制教育体制へ移行し、都市と地方の教育格差をなくし、高等教育を国際標準教育レベルに引き上げ、競争力アップを図ると共に、モンゴル語(国語)及びモンゴル文字(付記を参照)の習得を徹底し、英語を公的な第二言語として位置づけるなどの重要な改革案にも触れている。

しかし、なぜかFacebookで「オヨンエルデニ首相は、母語の日に英語をモンゴル国の公用語にすることを告知した」と書かれて、多くのユーザーからも半信半疑または非難のコメントが書き込まれている。しかし、上記の首相の発言から見れば判るように、それは明らかにフェイクニュースである。おそらく「第二言語」と言う部分を読み飛ばしたか聞きもらしたからだろう。あるいは政府と対立する意見を有するネットユーザーの発信かもしれない。それほど大きな影響は出ないと思われるが、類似のフェイクニュースへの警戒を呼び掛けるつもりで取り上げた次第である。

インターネット社会においてだれでも情報発言ができるようになっているが、われわれは常に情報リテラシーを持たなければならない。特に思い込みに支配されて事に当たることは禁物である。リテラシーを持ちつつ自らも正確な情報発言をすることが大切であろう。

        文責  B@B

 

付記

モンゴル国は、2015年2月12日、「モンゴル国モンゴル語に関する法律」を採択し、同年7月1日から実施している。同法は8章24条からなっている。同法第4章4.1.1条「法律用語定義」では、「モンゴル語を公用語」とし、4.1.4条「モンゴル語・モンゴル文字(Mongol hel ・bichig)とはモンゴル語、キリル文字と伝統文字である」と規定している(4.1.4.“монгол хэл, бичиг” гэж монгол хэл, кирил болон үндэсний бичгийг)。

2021年5月20日、大統領直轄言語政策国会委員会のS・ドルマー委員長は『ウヌードゥル』紙のインタビューに対し、「(現時点で) 16万5千人に対し、伝統モンゴル文字の学習を推進し、その51パーセントの方々が公文書などにおいてキリル文字と伝統文字の併用能力を備えていることと認定された。それは高い評価ではないが、悪い結果でもない」と話し、2025年からの二文字併用への移行が十分可能であると言う見通しを示した。

文責 B@B

出典:https://www.montsame.mn/mn/read/273795

https://www.legalinfo.mn/law/details/10932

9月1日はモンゴル国「母語の日」

モンゴル国前大統領 Kh.バトトルガ氏が2017年8月25日、大統領令を発布し、9月1日を母語の日と制定した。内容は次の通りである。

一、毎年の9月1日を「母語の日」と制定する。

ニ、モンゴル国におけるすべての国民、各世帯、政府及び非政府機関、各企業、各種教育機関はこの日を母語の日として慣例化し、記念行事を行うこと。

この大統領令は、モンゴル国内において各個人から政府機関まで9月1日を母語の日として慣例化し、さまざまな活動を行うよう呼び掛けている。

ユネスコは1999年に毎年2月21日を「世界母語の日」として制定した。それは、1952年2月21日、バングラデシュ人民共和国(当時は東ベンガル)で繰り広げられたベンガル語国語化運動に由来する。ウィキペディアによると、ベンガル語国語化運動は、かつての東ベンガル(1956年に東パキスタン、1971年にバングラデシュに改名)における政治運動であった。ベンガル語運動とも呼ばれる。政府業務における使用、教育言語としての使用の継続、メディア、通貨、切手における使用を可能にし、ベンガル文字での筆記を維持するため、当時のパキスタン自治領の公用語としてのベンガル語の承認を唱道した。

当時の西パキスタンがウルドゥー語を公用語として宣言したことに対し、1952年2月21日、東パキスタンの人々が抗議を行い、警察の発砲により犠牲者が出た。1956年にベンガル語は公式の地位を得た。現在、バングラデシュでは、2月21日(Ekushey February)は「言語運動の日」として国民の祝日になっている。

昨年9月1日から内モンゴルにおいて、従来のモンゴル語を主とする第一類双語(二言語)教育が中国語を主とする第二類双語教育へ転換され、内モンゴルで大規模な抗議活動が行われたことは記憶に新しい。日本でも「9.12東京大デモ」などさまざまな抗議活動が行われた。今後内モンゴルにおけるモンゴル語母語の保護は多難な道程を歩まねばならないが、各個人、各家庭において意識的に母語の継承活動を行い、さらに海外においても組織的に母語保護活動やモンゴル文化の宣伝、普及活動を忍耐強く続けることが大切であろう。モンゴル母語の使用、モンゴル文字の活用など具体的かつ日常的な実践が不可欠である。母語の保護はまずは足元から始めよう。

      文責 B@B

参考文献

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%AB%E8%AA%9E%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E5%8C%96%E9%81%8B%E5%8B%95