日本モンゴル名称万覚帳その十四(三角カタバミ)

6月23名日午後、息子の忘れ物を取りに小学校に行ったら、その玄関近くの地植えに偶然にも三角カタバミを見かけ、嬉しくなった。同じ仲間であろうイモカタバミはよく見かけるが、意外にも身近な場所で咲いていたのだ。おそらくこれまで気付いていなかったと思う。

モンゴル語では、オンターヘー・ハタン(untaakhai khatan)と呼ぶ。直訳すれば、「眠れる夫人」という意味である。かわいらしい淡いピンク色の花を咲かせる。調べてみると、学名がオキザリス・トリアングラリスだそうで、葉は日が当たると開き、夜間は閉じるという。モンゴルでは幸運を呼ぶ花として知られ、部屋の中でも鑑賞用に育ている家が増えているようだ。

モンゴル語の名称は非常に演劇的な表現で、想像の世界が広がる。

      文責:B@B

日本語モンゴル名称万覚帳その十三(紫陽花)

この頃、一般家庭の庭や公園、道端などでよく見かけるきれいな花は紫陽花(あじさい)である。モンゴル語で、Bariin chikh tsetseg(Барын чих цэцэг、 ᠪᠠᠷᠰ ᠊ᠤᠨ ᠴᠢᠬᠢ  ᠴᠡᠴᠡᠭ) という。 直訳すれば「虎の耳」という意味だ。その由来は分からないが、おそらく紫陽花の形が丸くふんわりしていて虎の耳に似ているからだろう。

モンゴル語の植物名称には家畜、動物などから取ったものが多い。たとえば、Zaanii chikh(Зааны чих )は「象の耳」で、「里芋の葉」を表す言葉である。こうした名称はモンゴル人の自然観にかかわるもので、興味深い。今後できるだけ多く取り上げたいと考えている。

文責:B@B

日本モンゴル名称万覚帳―その十二(はしか)

「はしか」

5月12日夕方、「はしか感染 都内では2020年以来 30代女性と40代男性」という気になるニュースが飛び込んできた。大人が重症化しやすい病気だそうだが、筆者が気になったのは症状よりもそのモンゴル語名称だ。

調べてみたところ、モンゴル語では、Ulaan burhan と言うそうである。モンゴル国のインターネット上も感染予防等を呼び掛けている記事が多くみられる。

筆者は、Ulaan burhanという病名については、モンゴル国の著名な文学者である,Ch・ロドイダンバ氏(1917-1970)の長編小説『清らかなタミル川』に何度か登場するのを思い出した。と同時に、主人公の一人である、豪傑Tsahiur To’mor が感染し、あわや命を落としそうになった、Tsagaan burhanという病名も浮かんでくる。日常的にほとんど気にしない病名だが、モンゴル語で覚えておくのは損はしない。

Ulaan burhan                    麻疹(はしか)

Tsagaan burhan (Tsetseg o’vchinともいう)   天然痘

 

ちなみに、昨年コロナの変異株と認められ、100以上の国で感染が報告された「サル痘」は、モンゴル語で、Sarmagchnii tsetseg o’vchin(Сармагчны цэцэг өвчин)である。

文責:B@B