「英語をモンゴル国の公用語に」はフェイクニュース

9月1日はモンゴル国の政府制定の「母語の日」であり、各種学校にとっては新しい学年の始まりである。この新学年のスタートに際して、モンゴル国のL・オヨンエルデニ首相が祝辞を述べた。その中で、教育体制関連法律の改革案を国会に提出したことを明言し、教育体制を順次12年制教育体制へ移行し、都市と地方の教育格差をなくし、高等教育を国際標準教育レベルに引き上げ、競争力アップを図ると共に、モンゴル語(国語)及びモンゴル文字(付記を参照)の習得を徹底し、英語を公的な第二言語として位置づけるなどの重要な改革案にも触れている。

しかし、なぜかFacebookで「オヨンエルデニ首相は、母語の日に英語をモンゴル国の公用語にすることを告知した」と書かれて、多くのユーザーからも半信半疑または非難のコメントが書き込まれている。しかし、上記の首相の発言から見れば判るように、それは明らかにフェイクニュースである。おそらく「第二言語」と言う部分を読み飛ばしたか聞きもらしたからだろう。あるいは政府と対立する意見を有するネットユーザーの発信かもしれない。それほど大きな影響は出ないと思われるが、類似のフェイクニュースへの警戒を呼び掛けるつもりで取り上げた次第である。

インターネット社会においてだれでも情報発言ができるようになっているが、われわれは常に情報リテラシーを持たなければならない。特に思い込みに支配されて事に当たることは禁物である。リテラシーを持ちつつ自らも正確な情報発言をすることが大切であろう。

        文責  B@B

 

付記

モンゴル国は、2015年2月12日、「モンゴル国モンゴル語に関する法律」を採択し、同年7月1日から実施している。同法は8章24条からなっている。同法第4章4.1.1条「法律用語定義」では、「モンゴル語を公用語」とし、4.1.4条「モンゴル語・モンゴル文字(Mongol hel ・bichig)とはモンゴル語、キリル文字と伝統文字である」と規定している(4.1.4.“монгол хэл, бичиг” гэж монгол хэл, кирил болон үндэсний бичгийг)。

2021年5月20日、大統領直轄言語政策国会委員会のS・ドルマー委員長は『ウヌードゥル』紙のインタビューに対し、「(現時点で) 16万5千人に対し、伝統モンゴル文字の学習を推進し、その51パーセントの方々が公文書などにおいてキリル文字と伝統文字の併用能力を備えていることと認定された。それは高い評価ではないが、悪い結果でもない」と話し、2025年からの二文字併用への移行が十分可能であると言う見通しを示した。

文責 B@B

出典:https://www.montsame.mn/mn/read/273795

https://www.legalinfo.mn/law/details/10932