モンゴル研究新刊紹介

   近年、 風響社は、モンゴル学研究の書籍を立て続けに出版してきましたが、そのなか、2点ほど最新のものを関係者にお知らせ致します。
 
 1点目は、静岡大学楊海英教授の編著した(『十善福白史』と『輝かしい鏡』ーオルドス・ モンゴルの年代記ー2018年。ISBN978-4-89489-874-5)というモンゴル学研究基礎資料です。
 この資料集には、フビライ・ハーンが関わって記録されてきた「チンギス・ハーンへの賛歌」を含め、きわめて貴重な一次資料が含まれ、楊海英教授の詳細な解説付に写真版で公にされただけに、「我が家の家宝」を惜しみなく公開したようなことに匹敵するものです(「序文」の1頁には、資料提供者であった楊海英教授の叔父の写真が掲載されているが、瓜二つの顔が楊海英教授ご本人だと錯覚さえ招きかねない!)。
 
 2点目は、昭和女子大学ボルジギン・フスレ教授の編著した研究誌(『モンゴルと東北アジア研究』第3号、2017年。ISBN978-4-89489-623-9)です。
 この研究誌は、フスレ教授が編集委員長を担当し、編集委員会は日本・モンゴル国・中国・アメリカとイギリスの研究者らによって構成されています。
 研究誌の目次は、すべて日・蒙・英で記載され、その論文・記事も文字通りモンゴルと東北アジアを含め、広範な地域をカバーした歴史・文化の総合的な研究成果が日本語、モンゴル語(キリル文字)、英語の三言語によって執筆されています。
 そのコンテンツの最大の特徴は、日本国内のみならず、国際的にも受容されるように
力を入れて編集されているところではないでしょうか。

 いずれも、日本のモンゴル学研究の現状を反映しているものです。

    *この記事は、北海学園大学のテレングト・アイトル教授が在日モンゴル人のネットワークSOSで配信した文章からの抜粋である。              B@B